チョコレート・ファイターはテコンドー・ファイター
公開中の映画の話。
チョコレート・ファイターのこと。
私が日本に帰ってくる前に、すでにタイ国内では公開されていたし、DVDも売っていた、このチョコレート・ファイター。
観たくてたまらなかったのだが、いかんせん、私の住む地域には映画館がなかった。
県の中心地には古びた映画館があったが、家から約60キロの山道の果て。
休日にちょっと足をのばすには、少々距離が遠かった。
DVDを買おうかとも思ったが、まだ定価から値下がりしてなかったので買わず。
結局、このアクション大作を観ないまま、私は帰国してしまった。
しかし、そんなチョコレート・ファイターもついに日本公開。ライムスターの宇多丸も激賞している。(http://podcast.tbsradio.jp/utamaru/files/20090613_hustler.mp3)
そんなに面白いのなら観てやろうじゃないか、と思ったら、近所では公開していない。
つくづく、この映画と縁がないらしい。
やるせない気持ちで、公式ホームページを眺めていて、気が付いた。
主演の女の子ジージャーはテコンドーの使い手らしいのだ。
タイはムエタイの国だ。
それなのに彼女はテコンドー。
誰も疑問に思ってないらしいが・・・
しかし、私にとってもこれはそれほど意外なことではない。
田舎だったこともあるが、私の家の近所には全くムエタイのジムがなかった。
学校のクラブ活動も同様。
ところがテコンドーの胴衣を着た小学生の姿は頻繁に見かけた。
理由は、嫌になるほど単純で、テコンドーはオリンピック競技だから。
実際に北京五輪でも、女子のタイ人選手がテコンドーで銀メダルを獲得している。
テコンドーの道場に通っている女子中学生に
私「なんでムエタイやらないんだよ」
娘「テコンドーならオリンピックに出られるかもしれないじゃないですか」
私「でも、ムエタイの方が強いぞ」
娘「でも、痛いです」
もしかしたらムエタイは時代遅れで古くさいもの、というイメージがあるのかもしれない。
世界最強の立ち技格闘技も、オリンピックには勝てないのか、と悲しくなった。
でもムエタイは強い。それだけは間違いない。
近所のカラオケ屋のウエイトレスの女の子が「あたしねぇ、ムエタイの試合、出たことあるわよ」と言っていた。
「勝ったの?」と聞いたら「負けた」というので、それほど強くなかったのだろうな、と思っていたら、しばらくしてその子は店から居なくなった。
ジャイ子によく似たもう1人のウエイトレスに「どこ行ったの?」と聞いたら、「なんだかよく分からないけど、他のウエイトレスと殴りあいのケンカになって、私もひっかかれてタイヘンだった」とひっかき傷を見せた。
かなり強かったらしい。
せっかくだから、本場の肘うちかローキックのひとつくらい食らっておけばよかった、と、ちょっと残念に思った。