チェンマイにいる、私の知り合い。
2人目に電話をかけた。


でも彼女も、実際の所、チェンマイの人ではない。
多分、もっと田舎の、チェンライ県の人だ。


日本に帰る前、最後にチェンマイに遊びに行った。
例のごとく飲み屋に行ったりしていて、そのときに飲み屋で働いているミンと知り合いになった。


ミンは山の中の村の出身だそうで、村には学校がなかったのだという。
で、キリスト教の牧師だか神父がきて、教会の学校で初等・中等教育を受けたのだという。


タイの人は、割と簡単に自分の家や下宿に、他人を招き入れる。
女子なのに、男子たる私を部屋に入れる事にそれほどの懸念がない(ように見える)。
ミンも飲み屋を出て、彼女の家に行って、いろいろな話を聞かせてくれた。


それで、今回もチェンマイについて、彼女に電話をかけた。
「おーい。元気か?仕事中か?」と聞くと
「そうそう。仕事中よ。」
「明日さ、昼間、暇なんだけど」
「じゃあ、2時過ぎに電話してよ。その頃には起きてるから」


昨日も電話かけておいたので、そういう約束になっていたのだが、いちおう電話してみた。
ホテルへの道すがらに、彼女の仕事場はある。
ついでなので寄ってみる。


店の外で座っている人たちに聞いてみる。
「ミンは中?友達なんだけど?」
「あら、友達なの。呼んだげるわ」
しばらくして、出てきた。
「あら、来たの?」
「元気そうだな。仕事中だね。明日、また電話するよ」


ミンはなんだかこってり塗りたくっていた。
翌日聞いたところによると「店の化粧担当のオカマさんが、こってりと塗りたくる」のだそうだ。
仕事の邪魔をするのも悪いので、「じゃあ、明日」と辞する。


翌日、昼ごろ、ミンのアパートに行った。
降りてきたミンは「ルームメイトが寝てるから、喫茶店行きましょう」と言った。
ノーヘルで新車のスクーターにまたがったミンに「ヘルメット要らないの?」と聞くと「嫌いなのよ、いつもは夜だから警官もいないし。つかまっても100バーツ罰金払えばいいだけよ」とのお答え。


茶店でもろもろのお話。
ルームメイトは忙しい店で働いてるが、自分が忙しい店に行ってあくせく働くのは嫌だ、とか、店での厚化粧は化粧担当のオカマの好みなのだとか、脱力系の雑談を2時間ばかり。
ミンの出勤時間が近づいたというので、店を出る。
私のホットコーヒーと彼女のアイスコーヒー。あわせて60バーツだったと思う。
席を立とうとすると、彼女が「いいわよ、あたしが払う」と言う。
「いいよ、それくらいは持ってる」と私が言っても「今度、高い所にいったとき、あなたに払ってもらうわ」と笑っていた。
茶店のおっさんもそれを聞いて笑っていた。


別の機会に飲み屋でおっさんたちに次のような感想を言ったことがある。
「この国の女の人は、二度目に会うとすでにお母さんみたいな口の利き方をする。「ご飯ちゃんと食べてる」とかね。アレは何なんだ?」
おっさんたちは苦笑していた。
自分たちを取り巻く現実に苦笑していたのか、それともそんな事を女の子に言われてしまう私のヘタレぶりに苦笑していたのか、真相は今でもわからない。


☆おまけ
山の中の道でぺちゃんこになっていた蛇。