夏休みを使って2週間程度、去年まで住んでいた所に遊びに行った。
旅行といえば旅行。
あまり他人に適用できるような旅程ではないと思うが、自分でも忘れないように記録を残しておこうと思う。


8月3日の昼、15時頃、機内で飲んだビールに顔を赤くしながら、バンコクスワンナプーム空港に到着。
ここに来るのはこれで何回目かは忘れた。
確かに綺麗な空港だとは思うが、個人的には、前のドンムアン空港の方が使い良い。
要するに伊丹空港関西空港の関係だ。


ドンムアンは比較的、町中にある。
北部の大都市、チェンマイに向かう路線に「ドンムアン駅」がすぐ向かいにあるので、その気になれば空港から直接、夜行列車に飛び乗ることも出来る。
スワンナプームは郊外。
バンコクの終着駅フアランポーン駅から車で1時間弱。
長距離バスのターミナルからもやはり1時間弱。
線路は出来ているが、未だ鉄道は運行していない。不便だ。


空港から、私の目的地である長距離バスターミナルがあるモーチットまで、タクシーだと300バーツ〜500バーツ程度かかる。
1000円から1500円だが、すでにバーツの感覚に酔っている私には、高い。
缶ビール1本が25バーツなのだ。
だからバスに乗るのだが、これがめんどくさい。
空港の前には鉄道の駅や市内に向かうシャトルバスはあるのに、なぜか長距離バスターミナル行きのバスがない。
海外旅行するような連中は、長距離深夜バスには乗らないということか。


まず空港から少し出た所にある、空港バスターミナルまでの無料シャトルバスに乗る。
AとかBとか書いてあったが、両方ともバスターミナルにはたどり着いてるみたいだったので、やってきたバスに乗る。
10分くらいで空港バスターミナル。
路線バスの乗り場と中・長距離距離バスの乗り場が並んでいる。
切符売り場は複数あるので、自分の行きたい場所を伝えて「バスある?」と聞いてまわる。
バンコクの路線バスは「501」だの「551」だの「081」だの、色々な番号があって、きわめて複雑。
乗り換えないといけないので、デカイ荷物を抱えた私には面倒。


一番奥のバス乗り場の中・長距離バス乗り場から、モーチット行きのバスが出ている。
古いが一応クーラーがついていて運賃は40バーツ。
1時間弱の乗車時間を考えれば、これに乗るのが一番よい。


しかし、このバスにも問題はある。
このバスをモーチットで降りた後、長距離バスのチケット売り場までが、なかなか遠いのだ。
荷物車を持ったあんちゃんやおっさんが「荷物運ぼうか?」と声をかけてくる。
「この荷物は軽いんだよ」とかわしながら、バスターミナル内の市場を通り抜けていく。
久し振りの熱気の中では、それだけでしっかりと汗をかいてしまう。


長距離バスは同じ行き先でもいくつかのバス会社があってそれぞれ微妙に違うので、出発時間と運賃を聞かねばならない。
グリーン車であるVIPバス。一等車のP1(ポー・ヌン)と二等車のP2(ポー・ソーン)。
長いことVIPバスに乗っていないのでその値段を忘れてしまったが、たしか私の目的地ナーン県までVIP=700バーツ、P1=570バーツ、P2=400バーツ、という感じだったと思う。
最近の私はP2のバスで全く不満はない。
ちょっと狭いが、隣に座る人次第でなんとでもなる。
おねえさんならむしろ好都合だろう。
だいぶん前、隣に小さい子供でラッキーと思ったら、深夜、ずっとそのガキに蹴られ続けたこともあったが。
とにかく400バーツ弱の二等車P2のチケットを購入。
夜の7時半過ぎに出発して600キロ以上離れた目的地ナーン県に到着するのは朝6時前。
10時間弱、深夜バス的には、大したことはない。


車内にテレビがある。
バスが動き出すまでは、地上波のテレビドラマを放映。
京阪電車の特急なみの乱れた映像に辟易するが、久し振りのタイドラマを懐かしく観る(多分、このドラマ)。
意外なことに、タイの深夜バスは大概の場合定刻に出発する。
出発してしまうとテレビの映りは悪くなるのでVCDに切りかわった。
「マッハ」や「トムヤムクン」のトニー・ジャーの主演するアクション映画をやっていた。
よくわからんヘンな映画で、知らないうちに終わっていた。


バンコク都心部は、それなりに渋滞している。
あちらこちらの屋台やネオンを30分くらい眺めていると、郊外に出る。
あとは田舎道。
窓外に見覚えのある場所を見いだしたり、うとうとしたり。
最初の1時間で、いくつかのバス停で停車して客が乗ってきた。
私の隣の席は、おっさん。


インターチェンジでの便所休憩が2回くらいあった。
でも私は外には出ない。
売ってる土産のお菓子を買う気にはならないのはもとより、1回3バーツをとられる便所にわざわざ行く気にもならないからだ。
バスターミナルの便所も有料。
空港を出た15時から、次の朝の6時まで、私は便所にいかないと決めていた。
飲まないより、出さない方が、ある意味においては難しい面がある。
とはいうものの、のどが乾いたので、バスターミナルで買った水を少し飲む。
ターミナルの待合いフロアには、セブンイレブンとローカルなコンビニがある。
最初、セブンイレブンに行くと、1.5リットルの水が20バーツ。
おかしい、もっと安いボトルがあった筈、と、もう一方の店に行くと、14バーツのものがあった。
すごく得した気分で購入。


しかし、こうやって得した6バーツも、電話をかけたらすぐになくなった。
明日の朝、バイクを借りに行く知人への電話と、明後日チェンマイで会う約束をしてる知人への電話。
いずれも携帯電話だから、高くつく。
20秒程度で1バーツ。


何度か目が覚めて、気が付いたら見覚えのある山道。
目的地についていた。
バス停に到着。
数ヶ月前と何も変わらない。
荷物を抱えてチケット売り場の軒下に。
知人の家はすぐそこだが、まだ時間が早い。
とりあえず小用をたそうと思って、バス停のはずれ、田圃の入り口に行こうとすると、突然知人が現れた。
 私 「あ、どうも。おはようございます」
 知人「なんだ、着いたなら、どうして電話してこない」
 私 「いえ、今、到着した所で、小便をしようかと思っていた所だったので」


家に到着すると、知人は「とりあえず、水でも浴びろ」と勧めた。
この地の人々は、朝、必ず水を浴びるのだ。


私が水を浴びてる間に、知人が市場で買ってきたおかずで朝食。
タケノコのスープ、冬瓜のスープ、魚のそぼろ、魚の干物。
テレビでは、動物園のパンダの名前を決めるとかいうニュースをやっていた。